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現代日本語の革新者 夏目漱石
夏目漱石の小説作品は、彼の死後100年以上を過ぎても、日本の国語の教科書に掲載され続けている。小学生にまで、遍(あまね)く読書される作家として、国民作家と呼ぶべきだろう。
漱石の小説
漱石の小説作品は、初期、中期、後期、の3つに分けて、理解されている。
初期の小説は、小学生から中学生でも、読書しやすい。滑稽と機知のなかに、物語の面白さを味わうことできる。代表作に「吾輩は猫である」「坊ちゃん」「草枕」などがある。
中期の小説は、個人と社会の関係を、より広く扱っている。代表作に「三四郎」「坑夫」「夢十夜」などがある。
漱石の俳句
漱石の俳句は、正岡子規と合わせて、語られてきた。
子規との俳句修行が、漱石の切れの良い文体に、影響を与えたと推察される。
また、漢学・英文学という教養の下地を通して、俳句を詠んだ初めての世代としても、注目したい。
漱石の代表句
洪水のあとに色なき茄子かな
名月や十三円の家に住む
曼珠沙花あつけらかんと道の端
教材としての夏目漱石
現代日本語を学ぶにあたって、2つの理由で、漱石は優れた入門になっている。
1つめは、新しい日本語の文体を生みだし、現代日本語の土壌となったからだ。
明治維新からの新しい日本語は(江戸時代にはほぼ存在していなかったので)用法があまり開拓されていなかった。漱石の作品によって、現代日本語がどのように開拓されていったのかを、学習することができる。
2つめは、東洋文化の蓄積と西洋文化の流入を、ていねいに吟味したからだ。
例えば、西洋の自我(self)や個人(individual)の概念を、批判的に検討した点は、見逃せない。
主体的に考え続ける姿勢を、漱石は自己本位(じこほんい)と呼んだ。
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